2021/03/22
最近の健康診断ではお腹周りが測られます。
健康診断ではこの測定を「腹囲」の測定といいます。
「腹囲を測って何が分かるのでしょうか?」
健診のときに腹囲の数値を聞いて、普段のウエストのサイズと余りにも違う数値に皆さんよく驚かれます。ウエストはお腹周りのいちばん細い部分で測りますが、腹囲は、おへそまわりで測定します。この腹囲の測定では、体の中、内臓周りの脂肪量を予測できるといわれています。それで内蔵脂肪型肥満かどうかを判断しているのです。
腹囲は、男性では85cm以上、女性は90cm以上であれば内臓脂肪型肥満が疑われます。
肥満には、下腹部・腰回り・おしりなどの皮下に脂肪が蓄積する「皮下脂肪型肥満(洋ナシ型)」と、内臓の周りに脂肪が蓄積してお腹がポッコリ出た「内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満、ビヤ樽型肥満)」がありますが、内臓脂肪型肥満は、皮下脂肪型肥満に比べて、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞を引き起こしやすいといわれています。
「内臓脂肪型肥満とメタボリック症候群の関係」
糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病は、個々の原因で発症するのではなく、肥満、特に内臓に脂肪が蓄積した「内臓脂肪型肥満」の影響であることがわかってきました。
大きくなった脂肪細胞が悪い活性物質を出すとともに、良い活性物質を出にくくし、血圧や血糖、中性脂肪を上げ、高血圧症・糖尿病・高脂血症(脂質異常症)をひきおこすことがわかっています。それが2つ3つと重なると心筋梗塞や脳梗塞になるリスクも高くなってしまいます。
内臓脂肪型肥満によって様々な病気が引き起こされやすくなった状態を「メタボリック症候群」といい、治療の対象とされるようになってきました。
2008年4月から始まった特定健診・特定保健指導は、「メタボ健診」とも呼ばれ、内臓脂肪蓄積(腹囲)の役割に着目した健診で、厚生労働省は腹囲を測ることを40歳~75歳までの健康診断を行う上で必須の項目として定めました。内蔵脂肪型肥満の要因となっている生活習慣を早期から改善し、生活習慣病の有病者や予備軍を減少させる目的で行われています。
「メタボの予防と改善」
メタボリックシンドローム(メタボ)の予防・改善は、まずは内臓脂肪を落とすことです。内臓脂肪を減らすには、焦らず、長期的に食事、運動療法を続ける事が大切です。内臓脂肪は溜まりやすい」一方で、「落としやすい」脂肪でもあります。内臓脂肪は皮下脂肪よりもエネルギーに変わりやすく燃えやすいので効果は出やすく、頑張った結果は腹囲の減少として目に見えてきます。わかりやすい腹囲の減少を目標にして、食事、運動療法を継続できるように頑張りましょう。
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