2021/04/20
脂質異常症は、悪玉といわれる「LDLコレステロール」や中性脂肪が血液中に増え、脂質代謝に異常をきたした状態で、進行すると動脈硬化のリスクとなり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす原因となる病気です。
コレステロールは、悪者にされがちですが、体の中で重要な役割を担っています。
悪玉(LDL)が血液中に増えると、血栓ができやすくなり心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まりますが、善玉(HDLコレステロール)値については高いほうがいいことが分かってきているので、以前は「高脂血症」と呼ばれていましたが、現在は呼び名が変わって「脂質異常症」と呼ばれるようになっています。
近年は、HDL(善玉)とLDL(悪玉)は別々に考えるのではなく、両方のバランスが重要とされ、脂質異常症の診断では「LH比」が重視されるようなってきました。
LH比の値の出し方
LH比=LDL(悪玉)÷HDL(善玉)
例えば
・LDL(悪玉)コレステロール値126mg/dl
・HDL(善玉)コレステロール値42mg/dl
だった場合、
126(悪玉)÷42(善玉)=3で、
LH比は3.0となります。
・LH比1.5以下→きれいで健康な状態
・LH比2.0以上→コレステロールの蓄積が増えて動脈硬化が疑われる状態
・LH比2.5以上→血栓ができている可能性があり心筋梗塞や脳梗塞のリスクある状態
HDL(善玉)コレステロールは男性40~80、女性40~90が正常範囲、LDL(悪玉)コレステロールは70~139が正常範囲なので、この場合は、どちらも正常範囲に入っているので個々にみると問題ないように見えますが、LH比でみると3.0という値になり、実は動脈硬化が進んだ「かなり危険な状態」という領域になります。
LH比率の目安は?
他に病気がない場合は2.0以下、高血圧・糖尿病・心筋梗塞などの前歴がある場合は1.5以下にすることが望ましいといわれています。
HL比は(悪玉÷善玉)と簡単に計算できるので、血液検査の結果があれば計算してみて、HL比からご自分の血管内の状態(コレステロールのバランス)を把握してみてください。
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