2021/06/21
【慢性腎臓病(CKD)」は、腎臓の働きが悪くなる病気です。
腎臓の働きを表す「e-GFR」が健康な人の60%以下に低下する、あるいは「蛋白尿」が出るといった腎臓の異常が3ケ月以上続く状態をいいます。
現在、日本国内での患者数は1330万人、成人の約8人に1人がCKDであると推計され、新たな国民病とまで言われています。
CKDは高血圧や糖尿病などの生活習慣病や加齢、慢性腎炎など様々な原因で腎臓の機能が低下してしまった状態で、ほとんど自覚症状のないまま進行していきます。
自覚症状(貧血・疲労感・息切れ・むくみ)などが現れた時には、既にかなり進行していて、透析を始めなければいけないほどの状態で気づく人もいます。
腎臓はいったん悪くなり始めると、坂を転がるように悪くなっていくので、症状のない時から自分の腎臓の状態を知っておくことが大切です。
CKDの重症度を診断するには専門医の受診が必要ですが、腎臓の状態は(A)血液検査と(B)尿検査から知ることができます。
(A)血清クレアチニン値・年齢・性別から推算し「e-GFR」の数値を調べます。
e-GFR90ml/min以上 →正常または高値
e-GFR60~89ml/min →正常または軽度低下
e-GFR45~59ml/min →軽度から中等度低下
e-GFR30~44ml/min →中等度から高度低下
e-GFR15~29ml/min →高度低下
e-GFR15ml/min以下 →末期腎不全
(B)尿中の「たんぱく」の有無を調べます。
加齢とともに腎機能は落ちていき、いったん落ちてしまった腎機能「e-GFR]を良くする特効薬はありませんが、腎臓への負担をできるだけ軽くすることで、これ以上の進行を防ぎ遅らせることができます。
では、腎機能が低下していることに気づいた時には、どうすれば良いのでしょうか。
▶腎臓に病気が隠れていないか確かめる。
(腎結石、腎硬化症、慢性腎炎、IgA腎症など)
▶糖尿病、高血圧、高尿酸血症などがある場合、薬物療法と生活改善により正常値を維持する。
そして、腎臓に優しい生活を心がける。
①塩分や脂肪を摂りすぎない
②こまめに水分摂取を心がける
③飲酒・禁煙、もしくは厳酒・減煙
④十分な睡眠をとり、ストレスをためない
⑤肥満・運動不足の解消に努める
CKDの原因には、肥満・運動不足・飲酒・喫煙・ストレスなどの生活習慣が大きく関与していると言われていますし、最近注目されているメタボリックシンドロームでもCKDの発症率が高まると言われています。日ごろから腎臓の働きを保つ工夫をしながら生活を心がけてください。
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